技術アーキテクチャ

首都圏一極集中がはらむデジタルインフラの脆弱性
——経済安全保障の観点から見た分散化の必然性

SG
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日本のデジタルインフラの最大の脆弱性は、地理的集中にあります。この問題は、経済安全保障推進法が想定するリスクの一形態として、政府内でも問題意識が共有されています。

首都直下地震のリスク指標

約9割東京圏・大阪圏に集中する国内DC割合
70〜80%30年以内に首都直下地震(M7級)が発生する確率
政府の地震調査委員会推計
約95兆円首都直下地震の経済損失試算
内閣府 中央防災会議

数字が問うていること

この数字が問うているのは、建物・インフラの物理的損壊だけではありません。データセンターが集中する地域が機能停止した場合、銀行決済システム・行政のマイナンバー基盤・電子カルテシステム・物流管理AIが同時に停止するシナリオです。これは仮定の話ではなく、現在の日本が抱える設計上の欠陥として、政府内でも問題意識が共有されています。

首都直下地震による連鎖停止シナリオ 首都直下地震 DC集中エリアが 機能停止 銀行決済 システム停止 マイナンバー 基盤停止 電子カルテ 停止 社会基盤の 同時停止 超分散型AIDC 複数拠点の高速統合 一拠点停止でも 全体継続 地方分散で首都圏リスクを 無効化する国土強靭化

図4. 首都直下地震による連鎖停止シナリオと、超分散型AIDCによる対策設計

経済安全保障推進法との接続

2022年施行の経済安全保障推進法は、通信・電力・金融などを「特定重要インフラ」に指定しました。デジタルインフラの地理的集中は、この法律が想定するリスクの一形態です。

SSFの見解

SSFが推進する「電力マネジメントシステム連動型超分散型AIDCネットワーク」は、北海道・東北・九州など首都圏から物理的に離れた複数拠点に、ベースロード電源直結のAIDCを分散配置し、高速光通信網(IOWNを含む次世代光通信基盤)で相互接続・仮想統合するアーキテクチャです。一拠点が停止しても他の拠点が処理を引き継ぐ設計は、通信工学における「冗長化」の地理的実装です。

薩摩川内市(SSV)は、この分散ネットワークの九州・アジア圏における拠点として設計されています。「首都圏のバックアップ」という位置付けではなく、西日本・アジア圏の計算需要を自律的に担う中核拠点として機能することが目標です。この役割を果たすには、アジア向け海底ケーブルへのアクセス性も重要な要件であり、台湾・シンガポールとの物理的距離の近さはその点での地理的優位性です。

出典資料一覧

本連載の技術・政策・制度に関する記述は、以下の一次資料に基づいています。

後藤

後藤 スミエ

SSF 理事

京都大学工学部・東京大学大学院修了後、P&G北米本社研究所、大手日系・外資系企業の経営企画を経て、SSF設立メンバーとして参画。GX・スマートシティ分野の自治体支援・補助金申請・PMOを担当。
個人サイト:bloomalot.jp/