GX戦略・政策

有望地域38件の選定から読む国の評価軸
——「計画の熟度」が問われた1次審査の実態

SG
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GX戦略地域制度の1次審査を経て、2026年4月24日、経済産業省は全国から38件の有望地域を発表しました。
類型別の内訳は、「コンビナート等再生型」6件(千葉県、川崎市、兵庫県、香川県、岡山県、山口県)、「データセンター集積型」9件(北海道、秋田県、宮城県、栃木県、茨城県、富山県、香川県、福岡県、鹿児島県)、「脱炭素電源活用型(GX産業団地)」23件です。

有望地域 38件の内訳(2026年4月24日発表)

6件コンビナート等再生型
千葉・川崎・兵庫・香川・岡山・山口
9件データセンター集積型
北海道・秋田・宮城・栃木・茨城・富山・香川・福岡・鹿児島
23件脱炭素電源活用型
(GX産業団地)

2026年4月24日GX戦略地域制度の有望地域(1次審査通過地域)を選定しました(経済産業省)

国の評価軸:4つの審査基準

経済産業省の発表資料によれば、有望地域の最終認定に向けて審査されるのは「競争力、実現可能性、事業者ニーズ、自治体のコミットメント」の4軸です。GX産業立地ワーキンググループの議論でも、「電力インフラの整備は通信基盤より時間もコストがかかる」という認識が共有されており、電力供給の確実性が先行評価軸となっています。

評価軸 主な審査ポイント 重点度
競争力 他地域にない構造優位性(電源・立地・既存インフラ) ★★★
実現可能性 民間の投資コミットメント・タイムラインの定量化 ★★★
事業者ニーズ MOU以上の具体的参画形態・役割分担の明示 ★★☆
自治体のコミットメント 首長・議会の承認状況・継続性のある推進体制 ★★☆

通過計画に共通する3要素

この結果を精査すると、国がどのような計画を評価したかが浮かび上がります。

通過した計画に共通する要素として以下の3点が浮かびます。

① 電力供給の定量的な裏付け

「再エネが豊富である」という定性的なアピールにとどまらず、「どの電源から何MWを、送電系統の確保見通しとともに、どのタイムラインで供給できるか」を数値で示した計画が、選定委員会の評価を得ています。これはGX産業立地WGが「まずは電力インフラから見て望ましい場所への立地を促進させる」と明示していることとも対応します。

② 既存インフラの転用可能性(ブラウンフィールドの活用)

ゼロから造成する計画と比較して、旧コンビナートや旧火力発電所跡地のように、超高圧受電設備が既存資産として残置されている立地は、整備のリードタイムを大幅に短縮できます。川崎市がJFEスチールの臨海部跡地を計画の核に据えていることは、この評価軸の典型例です。

③ 民間事業者の参画実態

MOU(意向確認書)の締結状況や、民間側の具体的な投資コミットメントが示されているかどうかが、「実現可能性」の評価において決定的な差を生んでいます。

通過計画の3共通要素(モバイル版) ① 電力供給の定量的裏付け MW数・系統確保見通しとセットで数値化 2030・2035年ロードマップ付き ② 既存インフラの転用可能性 旧コンビナート・旧発電所跡地を活用 ブラウンフィールド活用でリードタイム短縮 ③ 民間事業者の参画実態 MOU+投資コミットメントを明示 「実現可能性」評価の決定的差異

図3. 通過計画に共通する3要素——SSF分析(複数選定地域の計画内容をもとに整理)

(SSFの見解)

薩摩川内市(鹿児島県として選定)が「データセンター集積型」の有望地域に選定されたことは、本構想の方向性が国の評価軸と整合していることを示しています。ただし、有望地域の選定は最終認定ではありません。今後、事業計画の内容が精査され、「熟度が十分に高まった地域」のみが2026年夏頃に最終認定される見通しです。計画を確実に前進させるためには、上記3点の要素をさらに具体化することが実務上の課題です。

出典資料一覧

本連載の政策・制度に関する記述は、以下の一次資料に基づいています。

後藤

後藤 スミエ

SSF 理事

京都大学工学部・東京大学大学院修了後、P&G北米本社研究所、大手日系・外資系企業の経営企画を経て、SSF設立メンバーとして参画。GX・スマートシティ分野の自治体支援・補助金申請・PMOを担当。
個人サイト:bloomalot.jp/